便秘の基礎知識
便秘は男性に比べ女性になりやすく、日本人女性の2人に1人は便秘の症状が見られます。便秘は単なる不快感だけでなく、ときには大きな病気の原因になってしまうこともあります。便秘はいくつものタイプがあり、体にさまざまな症状が現れます。便秘の予防・改善をするために、正しい排便習慣を身につけることが大切です。便意をきちんと感じ取って、朝から快適な毎日を過ごしましょう。
便秘とは
便秘とは、便の腸管通過時間が正常な生理的な値(120時間まで)より長く、排便に困難を伴うなどの症状が見られる状態と定義されています。しかし、排便期間には個人差があり、便秘と思われがちな症状の大半は単なる便の腸管通過時間の増加に過ぎません。3・4日に1回程度でも苦痛を伴わない長年の習慣であれば便秘と考えなくてもよいでしょう。排便間隔が2日でも、残便感やお腹が張った苦しい感覚などがある場合は便秘と考えられます。
便秘の種類
便秘のタイプは、大きく分けて「器質性便秘」と「機能性便秘」があります。「器質性便秘」とは腸に関する病気が原因で起こる便秘のことをいい、「機能性便秘」は、排便機能の障害により起こる便秘です。便秘の大半を占める「機能性便秘」は、さらに2つの「一過性便秘」と「習慣性便秘」に分けることができます。一過性便秘は、旅行などによる環境の変化から起こり、緊張やストレス・食物繊維不足や水分不足によっても発症するもので、原因が分かれば比較的自然に収まります。習慣性便秘は、生活習慣や食生活が原因として発症する便秘です。これはさらに3タイプに分けられます。1つ目は「直腸性便秘」。便が直腸(便が外に出る手前の場所)まで運ばれているにもかかわらず、大脳にその刺激が伝わらないために発生する便秘です。2つ目は、「けいれん性便秘」。主に疲れやストレスが原因で発症する便秘です。3つ目は「弛緩性便秘」。便意があるのにお腹が張ってしまう女性や高齢者によく見られる便秘です。3つのタイプに共通する原因として、「腸内細菌叢のバランスの乱れ」が考えられます。
便秘によって起こる病気
自然と治る軽度のものもあれば、放ったらかしにして命に関わる大病に発展してしまう場合もあります。
-大腸がん-
食生活の変化が原因と考えられています。便の中に含まれる有害物質が腸内に長くとどまることで、大腸がんの発生を促進していると考えられています。
-痔-
強くいきんだり、硬い便によって肛門が切れてしまうのが原因で起こります。痔は痛みをともなうため、便意をもよおしても我慢してしまう場合があり、より便秘を悪化させ、さらに痔も悪化させるという悪循環を生みます。
-アレルギー-
大腸がんと同じく、腸内に有害物質が長い時間とどまることが原因だと考えられています。腸内細菌は免疫に深く関わっているとされ、腸内環境とアレルギーとの関係については、さまざまな研究が進められています。
便秘を防ぐ生活習慣
便秘を予防する方法は、生活習慣病の予防方法とほぼ同じです。便秘の場合、食物繊維が豊富な食品や発酵食品を食べるなどが注目され、他の疾病予防とは異なるように捉えられがちですが、食物繊維が多い食品や発酵食品は生活習慣病予防にも有効で、栄養バランスのよい食事には欠かせない食べ物です。また、適度な水分摂取や運動も大切です。便秘になりやすい生活は深刻な病気を引き起こしやすい生活です。便秘は生活習慣が悪化しているサインと考え、改善するようにしましょう。しっかりとケアして、体の健康を維持しましょう。
腸内環境も意識した食生活を送りましょう!
腸内にはさまざまな種類の腸内細菌が存在します。腸によい影響を与えるプロバイオティクス(善玉菌)は、ヨーグルトや乳酸菌飲料などの食品に含まれています。また、納豆やキムチなどの発酵食品にも含まれていますので、これらの食品を日常の食生活に取り入れることで、腸内環境を改善させることが期待できます。