神経障害性疼痛について
痛みは、脈拍・血圧・呼吸・体温に続き、5番目のバイタルサインともいわれており、生体防御には不可欠で重要な役割を果たしています。痛みは、持続時間・発症機序・発生部位など様々な軸で分類することができます。持続時間により分類すると急性疼痛・慢性疼痛・両者を併せもった混合性疼痛があります。急性疼痛は生体を守るための警告信号であり短期間で治るもの、慢性疼痛は急性疼痛から移行した痛みと考えられます。慢性疼痛は、急性疾患の通常の経過あるいは創傷の治癒に妥当な時間を越えて持続する痛みと定義されています。
神経障害性疼痛について
神経障害性疼痛とは、神経の損傷あるいはそれに伴う機能異常により起こる痛みで、様々な知覚異常を伴います。障害された神経の場所によって、「末梢性」または「中枢性」の神経障害性疼痛と呼ばれています。末梢性の代表的な疾患には坐骨神経痛・帯状疱疹後神経痛や糖尿病神経障害に伴う痛み・しびれなどがあり、そのほかにも三叉神経痛・絞扼性末梢神経障害(毛根管症候群など)・神経根障害など多くの病態が含まれます。中枢性としては、脳卒中後疼痛・脊髄損傷後疼痛・多発性硬化症による痛みなどが含まれます。
坐骨神経痛について
お尻から足の後ろ側にかけてあらわれる痛みやしびれ、麻痺などの症状のことを坐骨神経痛といいます。坐骨神経が圧迫されることや刺激を受けることで生じる痛みの症状を総称して坐骨神経痛と呼んでいます。多くの場合、腰痛に引き続いて起こり、足の痛みやしびれが起こるだけでなく、麻痺や痛みによる歩行障害を伴うこともあります。坐骨神経痛を起こす主な原因は、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄があります。その他、帯状疱疹などのウイルス感染症も原因になります。
-坐骨神経痛の改善・予防-
① 正しい姿勢を意識する(姿勢矯正)
② 冷えを防ぐ(腰・下肢)
③ 肥満に注意する(ダイエット)
④ ストレッチを行う(筋肉のこわばりをなくす)
神経障害性疼痛の治療
神経障害性疼痛治療の目的は、痛みを軽減するとともに、身体機能とQOLを維持・改善することです。治療は薬物療法が中心となりますが、神経ブロック療法・外科的療法・理学療法が用いられることがあります。