甲状腺機能亢進症(バセドウ病)について
バセドウ病は女性では100人に1人の頻度でみられる病気で、決して稀なものではありません。自覚症状がなくなっても治ったわけではなく、いつ薬をやめるか、薬物治療以外の治療に切り替えるかなど難しい点があります。甲状腺専門医と相談しながら治療することをお勧めします。
甲状腺機能亢進症とは
甲状腺から甲状腺ホルモンが多量に分泌され、全身の代謝が高まる病気です。甲状腺機能亢進症とバセドウ病は同じ意味に使われていますが、厳密には違います。バセドウ病以外に無痛性甲状腺炎、亜急性甲状腺炎、機能性甲状腺炎でも甲状腺ホルモンが過剰になります。
バセドウ病の原因
血液中にTSHレセプター抗体(TRAb)ができることが原因です。この抗体は、甲状腺の機能を調節している甲状腺刺激ホルモン(TSH)というホルモンの情報の受け手であるTSHレセプターに対する抗体です。これが甲状腺を無制限に刺激するので、甲状腺ホルモンが過剰につくられて機能亢進症が起こります。このTRAbができる原因はまだ詳細にはわかっていませんが、甲状腺の病気は家族に同じ病気の人が多いことでもわかるように、遺伝的素因が関係しています。
バセドウ病の症状
甲状腺ホルモンが過剰になると全身の代謝が亢進するので、食欲が出てよく食べるのに体重が減り(高齢は体重減少のみ)、暑がりになり、全身に汗をかくようになります。精神的には興奮して活発になるわりにまとまりがなく、疲れやすくなり、動悸(どうき)を1日中感じるようになります。手が震えて字が書きにくくなり、ひどくなると足や全身が震えるようになります。イライラして怒りっぽくなり、排便の回数が増えます。大きさに違いはありますが、ほとんどの症例で軟らかいびまん性の甲状腺腫が認められます。バセドウ病では眼球が突出するとよくいわれますが、実際には5人に1人くらいです。
-チェックリスト-
① 真冬でも汗をかくようになった。
② 暑がりになった。
③ 脈が速く、動悸を感じる。
④ 些細なことでイライラして、怒りっぽくなった。
⑤ 疲れやすく、体力が落ちたと感じる。
⑥ 少し動いただけでも息切れを感じる。
⑦ 食欲が高まり、常に空腹に感じる。
⑧ 1日に何回も便が出たり、自然に便秘が治ったりしている。
⑨ 食事の量は減っていないが、体重が減った。
⑩ じっとしていると落ち着かない。
⑪ 眼が出たり、見開いたようになった。
⑫ 手が細かく震えて字が書きにくい。
⑬ いつも手のひらが湿って温かい。
※ 6つ以上当てはまる人は、バセドウ病の可能性があります。